このページではKubernetesによるDNSサポートについて概観します。
KubernetesのDNSはクラスター上でDNS PodとServiceをスケジュールし、DNSの名前解決をするために各コンテナに対してDNS ServiceのIPを使うようにKubeletを設定します。
クラスター内(DNSサーバーそれ自体も含む)で定義された全てのServiceはDNS名を割り当てられます。デフォルトでは、クライアントPodのDNSサーチリストはPod自身のネームスペースと、クラスターのデフォルトドメインを含みます。
下記の例でこの仕組みを説明します。
Kubernetesのbarというネームスペース内でfooという名前のServiceがあると仮定します。barネームスペース内で稼働しているPodは、fooに対してDNSクエリを実行するだけでこのServiceを探すことができます。barとは別のquuxネームスペース内で稼働しているPodは、foo.barに対してDNSクエリを実行するだけでこのServiceを探すことができます。
下記のセクションでは、サポートされているレコードタイプとレイアウトについて詳しくまとめています。
うまく機能する他のレイアウト、名前、またはクエリーは、実装の詳細を考慮し、警告なしに変更されることがあります。
最新の仕様に関する詳細は、KubernetesにおけるDNSベースのServiceディスカバリを参照ください。
“通常の”(Headlessでない)Serviceは、my-svc.my-namespace.svc.cluster.localという形式のDNS Aレコードを割り当てられます。このAレコードはそのServiceのClusterIPへと名前解決されます。
“Headless”(ClusterIPなしの)Serviceもまたmy-svc.my-namespace.svc.cluster.localという形式のDNS Aレコードを割り当てられます。通常のServiceとは異なり、このAレコードはServiceによって選択されたPodのIPの一覧へと名前解決されます。クライアントはこの一覧のIPを使うか、その一覧から標準のラウンドロビン方式によって選択されたIPを使います…
SRVレコードは、通常のServiceもしくはHeadless
Servicesの一部である名前付きポート向けに作成されます。それぞれの名前付きポートに対して、そのSRVレコードは_my-port-name._my-port-protocol.my-svc.my-namespace.svc.cluster.localという形式となります。
通常のServiceに対しては、このSRVレコードはmy-svc.my-namespace.svc.cluster.localという形式のドメイン名とポート番号へ名前解決します。
Headless Serviceに対しては、このSRVレコードは複数の結果を返します。それはServiceの背後にある各Podの1つを返すのと、auto-generated-name.my-svc.my-namespace.svc.cluster.localという形式のPodのドメイン名とポート番号を含んだ結果を返します。
DNSが有効なとき、Podは”pod-ip-address.my-namespace.pod.cluster.local“という形式のAレコードを割り当てられます。
例えば、defaultネームスペース内でcluster.localというDNS名を持ち、1.2.3.4というIPを持ったPodは次の形式のエントリーを持ちます。: 1-2-3-4.default.pod.cluster.local。
現在、Podが作成されたとき、そのPodのホスト名はPodのmetadata.nameフィールドの値となります。
Pod Specは、オプションであるhostnameフィールドを持ち、Podのホスト名を指定するために使うことができます。hostnameが指定されたとき、hostnameはそのPodの名前よりも優先されます。例えば、hostnameフィールドが”my-host“にセットされたPodを考えると、Podはそのhostnameが”my-host“に設定されます。
Pod Specはまた、オプションであるsubdomainフィールドも持ち、Podのサブドメイン名を指定するために使うことができます。例えば、”my-namespace“というネームスペース内でhostnameがfooとセットされていて、subdomainがbarとセットされているPodの場合、そのPodは”foo.bar.my-namespace.svc.cluster.local“という名前の完全修飾ドメイン名(FQDN)を持つことになります。
例:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
name: default-subdomain
spec:
selector:
name: busybox
clusterIP: None
ports:
- name: foo # 実際は、portは必要ありません。
port: 1234
targetPort: 1234
---
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: busybox1
labels:
name: busybox
spec:
hostname: busybox-1
subdomain: default-subdomain
containers:
- image: busybox:1.28
command:
- sleep
- "3600"
name: busybox
---
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: busybox2
labels:
name: busybox
spec:
hostname: busybox-2
subdomain: default-subdomain
containers:
- image: busybox:1.28
command:
- sleep
- "3600"
name: busyboxもしそのPodと同じネームスペース内で、同じサブドメインを持ったHeadless Serviceが存在していた場合、クラスターのKubeDNSサーバーもまた、そのPodの完全修飾ドメイン名(FQDN)に対するAレコードを返します。
例えば、”busybox-1“というホスト名で、”default-subdomain“というサブドメインを持ったPodと、そのPodと同じネームスペース内にある”default-subdomain“という名前のHeadless Serviceがあると考えると、そのPodは自身の完全修飾ドメイン名(FQDN)を”busybox-1.default-subdomain.my-namespace.svc.cluster.local“として扱います。DNSはそのPodのIPを指し示すAレコードを返します。”busybox1“と”busybox2“の両方のPodはそれぞれ独立したAレコードを持ちます。
そのエンドポイントオブジェクトはそのIPに加えてhostnameを任意のエンドポイントアドレスに対して指定できます。
備考: AレコードはPodの名前に対して作成されないため、hostnameはPodのAレコードが作成されるために必須となります。hostnameを持たないがsubdomainを持つようなPodは、そのPodのIPアドレスを指し示すHeadless Service(default-subdomain.my-namespace.svc.cluster.local)に対するAレコードのみ作成します。
DNSポリシーはPod毎に設定できます。現在のKubernetesでは次のようなPod固有のDNSポリシーをサポートしています。これらのポリシーはPod SpecのdnsPolicyフィールドで指定されます。
Default“: そのPodはPodが稼働しているNodeから名前解決の設定を継承します。詳細に関しては、関連する議論を参照してください。ClusterFirst“: “www.kubernetes.io“のようなクラスタードメインのサフィックスにマッチしないようなDNSクエリーは、Nodeから継承された上流のネームサーバーにフォワーディングされます。クラスター管理者は、追加のstubドメインと上流のDNSサーバーを設定できます。ClusterFirstWithHostNet“: hostNetworkによって稼働しているPodに対しては、ユーザーは明示的にDNSポリシーを”ClusterFirstWithHostNet“とセットするべきです。None“: この設定では、Kubernetesの環境からDNS設定を無視することができます。全てのDNS設定は、Pod Spec内のdnsConfigフィールドを指定して提供することになっています。下記のセクションのPod’s DNS configを参照ください。備考: “Default”は、デフォルトのDNSポリシーではありません。もしdnsPolicyが明示的に指定されていない場合、”ClusterFirst”が使用されます。
下記の例では、hostNetworkフィールドがtrueにセットされているため、dnsPolicyが”ClusterFirstWithHostNet“とセットされているPodを示します。
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: busybox
namespace: default
spec:
containers:
- image: busybox:1.28
command:
- sleep
- "3600"
imagePullPolicy: IfNotPresent
name: busybox
restartPolicy: Always
hostNetwork: true
dnsPolicy: ClusterFirstWithHostNetPodのDNS設定は、ユーザーがPodに対してそのDNS設定上でさらに制御するための手段を提供します。
dnsConfigフィールドはオプションで、どのような設定のdnsPolicyでも共に機能することができます。しかし、PodのdnsPolicyが”None“にセットされていたとき、dnsConfigフィールドは必ず指定されなくてはなりません。
下記の項目は、ユーザーがdnsConfigフィールドに指定可能なプロパティーとなります。
nameservers: そのPodに対するDNSサーバーとして使われるIPアドレスのリストです。これは最大で3つのIPアドレスを指定することができます。PodのdnsPolicyが”None“に指定されていたとき、そのリストは最低1つのIPアドレスを指定しなければならず、もし指定されていなければ、それ以外のdnsPolicyの値の場合は、このプロパティーはオプションとなります。searches: Pod内のホスト名のルックアップのためのDNSサーチドメインのリストです。このプロパティーはオプションです。指定されていたとき、このリストは選択されたDNSポリシーから生成されたサーチドメイン名のベースとなるリストにマージされます。重複されているドメイン名は削除されます。Kubernetesでは最大6つのサーチドメインの設定を許可しています。options: nameプロパティー(必須)とvalueプロパティー(オプション)を持つような各オプジェクトのリストで、これはオプションです。このプロパティー内の内容は指定されたDNSポリシーから生成されたオプションにマージされます。重複されたエントリーは削除されます。下記のファイルはカスタムDNS設定を持ったPodの例です。
service/networking/custom-dns.yaml
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上記のPodが作成されたとき、testコンテナは、コンテナ内の/etc/resolv.confファイル内にある下記の内容を取得します。
nameserver 1.2.3.4
search ns1.svc.cluster.local my.dns.search.suffix
options ndots:2 edns0
IPv6用のセットアップのためには、サーチパスとname serverは下記のようにセットアップするべきです。
$ kubectl exec -it dns-example -- cat /etc/resolv.conf
nameserver fd00:79:30::a
search default.svc.cluster.local svc.cluster.local cluster.local
options ndots:5
PodのDNS設定と”None“というDNSポリシーの利用可能なバージョンに関しては下記の通りです。
| k8s version | Feature support |
|---|---|
| 1.14 | ステーブル |
| 1.10 | β版 (デフォルトで有効) |
| 1.9 | α版 |
DNS設定の管理方法に関しては、DNS Serviceの設定 を確認してください。
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